ごあいさつ
有縁の皆様へ
私は、南無阿弥陀仏をお伝えさせて頂くことを、住職として第一の務めとしています。
お寺は、そのための拠点であり、様々なお人がご縁を結んでいただければと切に願っています。
時代は、段々と仏教(宗教)離れの方向に向かいつつあると言われて久しいことです。もちろんこの現実を念頭に置く必要はありますが、いたずらに悲観する必要もないとも思っています。何故なら、阿弥陀様のみ教えを喜ばせて頂く者として、素晴らしい道は必ず伝わると思っているからです。
若年層の大方が仏事に関心を示さないことも、今に始まったことではありませんし、仏教を批判的に見る人は江戸時代にもいました。親鸞聖人ご在世の時にもお念仏の道を妨げようとした人が少なくなかったことは、残っているお手紙からも察することができます。その人々に対して親鸞聖人は、不憫に思ってお念仏をお勧めしましょうと仰っています。反発したり押し付けるのでもなく、かといって遠巻きに放っておくのでもなくお勧めしていくというご姿勢に、私は自分の動静の在処を知らせて頂くことです。
ストレートに仏教を聞くということから始めることは難しいかもしれません。しかし、様々な催しごとや旅行などを通して、有縁の人々の輪が広がっていけば、仏教と日常が意外な接点を持っていることに気が付いていただけるかもしれません。私たちの日常に仏教は 既に根づいています。新しいものを吸収するというよりも、既にあることに気が付いていくことが仏教と触れていく道筋のように思えます。
伝統的な仏事を大切にしつつ、催し物を楽しみながら、
皆様と共々に仏教を喜べるようになってゆければ幸いです。
これまでも、そしてこれからも宜しくお願い致します。
報恩寺住職 牧野 仁(悠水)