中学校などの歴史の勉強で『歎異抄』の名前を聞かれた方は多いと思います。詳しくはご存じなくても、浄土真宗或いは親鸞聖人と関係がある書物であるという漠然としたイメージはお持ちでしょう。このお書物は、実は親鸞聖人が書かれたものではありません。親鸞聖人のお弟子である、唯円(ゆいえん)という人のお書物であるというのが現在の定説です。書物の内容としては、「異なることを歎く」という趣旨です。
親鸞聖人は、関東に40才~60才頃までご滞在ですが、その後京都に帰られました。すると、親鸞聖人が仰っていないことを自己の立身のために勝手に主張する人々が出てきました。その勝手な主張は、親鸞聖人が仰っていない「異なっている」と「歎く」ことで、批判すると共にきちんとした教えを明らかにしようとしたのが当著書です。