過去帳とは、読んで字の如く「過去の帳(記録)」ということで、お浄土に先だった方々の記録が記されているものです。私達の宗派では標準的に用いられています。一方、位牌とは中国の儒教を起源とするもので、生前の社会的地位や氏名を記して、亡くなった本人の魂がそこに宿っているという見方をします。つまり、故人を儒教の孝(こう)(親孝行の孝)の観点から、位牌そのものを生前の故人に仕えるように尊崇することが第一の目的です。
最初に浄土真宗では、過去帳を用いると書きました。これは、位牌を積極的に用いないということでもあります。先に述べたように、位牌は故人を主役とするものです。しかし、お仏壇での主役はあくまで阿弥陀如来様です。故人はその阿弥陀様のお浄土へ往かれたお方としての位置付けなのです。その意味から、亡くなった方々には少しご遠慮頂いて、位牌ではなく過去帳に記された形となっています。だからこそ、最上段に阿弥陀様、最下段に過去帳をご安置するのです。故人、ご先祖の方々、そして私達が往かせて頂くお浄土の主を最大限の表現でお敬いするという主旨を大切にしたいものです。